ビジネスにゲームを活用する

ビジネス×ゲームの可能性


結論から申し上げますと遊びで、敷居を低くすること、顧客の気持ちを理解することがビジネスを加速すると考えています。

ゲームというと、一昔前(今でも一部で)は教育を阻害する害悪とされ、それだけで拒絶反応を示す方も一定数いました。

しかし、最近ではタブレットを用いた教育環境が浸透してきたこともあり、ゲームをはじめとする「遊び」が、人に興味を持たせるのに適していると認識が改まってきたのではないでしょうか。

そんな、人を引き付ける魅力を持つゲームを上手に活用すれば、普段のあなたのビジネスもより良い物に出来ると思いませんか?

ボードゲームを知り尽くした私が考える、ビジネスシーンでのゲームの活用法をいくつか例を挙げてご紹介させて頂きたいと思います。

自分のビジネスを理解して貰うツール


突然ですが、あなたは自分の考えを言葉にすることは得意でしょうか?

自分のビジネスに関して、以下の項目を小学生に分かる様に説明できそうか、一度想像してみてください

・あなたのビジネスは誰にどんな価値を提供するものですか?
・あなたのビジネスを利用すると利用者はどうなりますか?
・あなたのビジネスであなたの役割は何ですか?

ビジネスにおいては定番とも言える質問ですが、近しい業界の人に説明できても、小学生に分かる様にと言われると、専門的な言葉を使わずに言い換えることは結構難しいのではないでしょうか。

そんな、他の人に物事を伝える補助ができるものの1つがボードゲームです。

ボードゲームには、様々なテーマに基づいたものが存在しており、そのゲームを遊ぶ事を通して、ゲームのテーマについての理解が深まることがあります。

一般的に良く知られている「人生ゲーム」も、仮想の人間の一生を1~2時間程度でコンパクトにまとめて追体験することで、自分の生き方を練習すると言い換えることができます。

あまり知られていないディープなボードゲームには、多種多様なテーマのゲームが存在し、例を挙げると

商人となって商品を売買するゲーム
国の代表となって自国を発展させるゲーム
農場で畑を耕したり家畜を育てるゲーム

なんて、イメージしやすい物がある一方で

自分以外のプレイヤーを不健康にして、自分だけが生き残るゲーム
実際の詐欺事件をモチーフにした投資詐欺師になるゲーム
資産家の遺言で通りにいち早くお金を散財するゲーム

といったゲームと言う仮想空間だからこそ、体験できるテーマもあります。

この様に大概の事はゲーム化する事により、専門知識の無い人でも、そのテーマの中の世界を体験することが出来るのです。

その体験により、テーマに対する理解が深まることはもちろん、実際に自分のビジネスが優れている点を、遊びの中から感じ取って貰えるという気軽さも魅力です。

自分のビジネスに遊びの要素を取り込む


ビジネス内に遊びの要素を盛り込んだ事で成功した例もあります。

最近では、ファミリーレストランのサイゼリアがマネージャー研修の為に、オリジナルの店舗運営ゲームを開発し、実際の社員研修として実施したことも業界では話題になりました。

そのゲームでは、従業員の雇用や店舗設備の変更、実際に起こりうるイベントなど、現実に店舗を運営していく際に直面する問題を仮体験することにより、従業員数と店舗規模のバランスのとり方やリスクに備えた運営方法などを楽しく経験することができたようです。

また、世界的企業であるUber Eatsは配達員への依頼管理システムの中で、配達員が受注するまでは全ての情報を開示しないシステムで、ガチャの様なアタリハズレがある事で、次こそはアタリを引きたいとワクワクさせるシステムがあります。

そんな実際の企業が行っている前例を参考にすることももちろん良いですが、意識していない日常にもそういった遊びの要素は散りばめられています。

夏休みのラジオ体操でのスタンプシステムやスーパーのポイントカードは継続して利用する事を促し、顧客の囲い込みに一役買います。

コンビニチェーンが実施する700円お買い上げ毎にくじ引きシステムも、会計毎の平均客単価が約600円なので金額の底上げが目的ですが、くじによりサービス商品が貰えることがある為、利用者にはメリットを強く感じ、大差のないコンビニの利用を考えた際に選ばれる理由作りに貢献しています。

この様に日常にも様々なゲーム的要素が介入しているのです。

ボードゲーム自体は遊びそのものですが、ボードゲームを構成するルールの中には「〇〇〇と△△△どちらにするか悩ませる」仕掛けがあるものが多くあり、実際のビジネスやサービスにおいても、類似のサービスを提供する他社との選択を迫られている顧客の気持ちと似たものがあります。

そういった選択の基になる要素を分析することで、なぜその人がその選択を行うのかという部分を理論的に捉えることができるので、自分のサービスを提供したい顧客像とすり合わせを行い、好まれるサービスを構築することは、ゲームのルールを考えることと非常に近い行為な訳です。